睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる(無呼吸)、あるいは浅くなる(低呼吸)状態が生じる疾患です。10秒以上の呼吸停止が1時間に5回以上、あるいは7時間の睡眠中に30回以上認められる場合に睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
大船・横浜市栄区の小笹医院では、SASの診断から治療まで一貫したケアを提供しています。「家族から『いびきがひどい』と言われる」「日中いつも眠い」などの症状でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群の合併症
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、以下のような合併症を招く恐れがあります。
- 高血圧、心房細動、心不全などの心血管疾患
- 脳梗塞や認知機能低下
- 糖尿病の発症や血糖コントロール悪化
- 日中の強い眠気による交通事故や労働災害
- うつ症状や生活の質の著しい低下 など
循環器専門医による評価・治療の必要性
睡眠中の無呼吸による酸素欠乏と頻繁な覚醒による交感神経の過剰反応は、心臓に大きな負担をかけます。そのため、睡眠時無呼吸症候群では心臓の状態を詳しく調べながら適切な治療を行うことが重要です。心臓と血管の専門家である循環器内科医にご相談いただくことをおすすめします。
睡眠時無呼吸症候群の症状と原因
主な症状
主な症状としては以下が挙げられます。睡眠中の症状は自覚しにくいため、周囲からの指摘や日中の症状から疑われる方が多いです。
睡眠中の症状
- 大きないびき
- 呼吸が止まる(家族に指摘されることが多い)
- 寝返りが多い、寝相が悪い
- 窒息感で目が覚める
- 夜間頻尿 など
日中の症状
- 日中の強い眠気や倦怠感
- 起床時の頭痛
- 集中力や記憶力の低下
- イライラ感や抑うつ気分 など
原因
- 肥満(特に首まわりの脂肪)
- 加齢
- 男性(閉経前の女性は比較的少ない)
- 家族歴
- アルコールや睡眠薬の使用
- 喫煙
- 鼻閉や副鼻腔炎などの鼻の疾患 など
睡眠時無呼吸症候群の検査と診断
睡眠時無呼吸症候群の診断は、以下のステップで行われます。
問診・睡眠尺度評価
睡眠の質、日中の眠気の程度、いびきの有無などについて詳しくお聞きします。睡眠尺度評価(ESS)という質問票を用いて、日中の眠気を数値化することもあります。
睡眠尺度評価
| 眠くなることが多い | 時々眠くなる | たまに眠くなる | 眠くならない | |
|---|---|---|---|---|
| 座って読書をしている時 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| テレビを観ている時 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 人の大勢いる場所で座っている時 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 1時間誰かの隣で車に乗っている時 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 午後、横になって休憩している時 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 昼食後、静かに座っている時(飲酒はなし) | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 車を運転中に信号などで数分間止まっている時 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 5点未満 | 日中の眠気は少ない |
|---|---|
| 5~10点 | 日中に軽度の眠気あり |
| 11点以上 | 日中に強い眠気あり |
スクリーニング検査
パルスオキシメータと呼ばれる小型の機器を指先に装着して、睡眠中の血中酸素飽和度(SpO2)を測定します。無呼吸が起きると酸素飽和度が低下するため、SASの可能性を判断する手がかりになります。装置を持ち帰っていただき、ご自宅で実施します。
簡易無呼吸検査
指先と鼻にセンサーを付けて、鼻や口の気流、いびき音、胸腹部の動き、血中酸素飽和度などを測定します。お渡しした装置をご自宅に持ち帰っていただき、装着してから寝ていただきます。
ポリソムノグラフィ(PSG)検査
専門の検査施設に入院して行う精密検査で、脳波、眼球運動、筋電図、心電図、いびき音、呼吸状態、体位など多項目を同時に測定します。睡眠の質の評価、他の睡眠障害の診断にも役立ちます。
睡眠時無呼吸症候群の治療
睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度や原因に応じて以下のような方法から選択します。
生活習慣の改善
軽度の場合は、原因となる生活習慣を改めることで改善をはかります。
- 肥満がある場合は減量を目指す
- 禁煙
- 過度のアルコール摂取を避ける(特に就寝前)
- 仰向けで寝ないよう工夫する
- 規則正しい睡眠習慣を確立する など
CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)
マスクを装着し、専用の機器で圧力をかけた空気を送り込むことで、気道が閉塞するのを防ぎます。中等症以上の睡眠時無呼吸症候群に有効で、適切に使用すれば症状の大きな改善が期待できます。
マウスピース
専用のマウスピースを使用して、下顎を前方に引き出すことで気道を広げます。軽症から中等症の睡眠時無呼吸症候群に効果が期待でき、CPAPが合わない場合にも選択することがあります。
手術療法
扁桃肥大や口蓋垂の異常など、明らかな解剖学的異常がある場合や、他の治療方法では不十分な重症例の場合に検討されます。
