心筋梗塞とは?

心筋梗塞は、心臓の筋肉(心筋)に血液を供給する冠動脈が突然閉塞して、その先の心筋に十分な血液が行き渡らなくなることで心筋組織が壊死(えし)する疾患です。心筋は一度壊死すると再生しないため、心筋梗塞は生命に関わる重篤な疾患で、発症から治療開始までの時間が予後を大きく左右します。
大船・横浜市栄区の小笹医院では、循環器専門医である院長が心筋梗塞の予防や再発防止のための診療を行っています。心筋梗塞の既往がある方や危険因子をお持ちの方は、ぜひ当院へご相談ください。
発作時の迅速な対応が重要
心筋梗塞は「時間との戦い」と言われていて、発症後の時間経過に伴って治療の効果が低下します。発症から2時間以内に治療を開始できれば後遺症のリスクを最小限に抑えることが可能ですので、後述する症状を感じたら、迷わず救急車を呼んでください。
心筋梗塞の症状
心筋梗塞の典型的な症状は強い胸痛で、安静にしても10分以上持続することが特徴です。前兆として胸痛や胸の圧迫感などの狭心症の症状が見られることもありますので、これらが頻繁に繰り返されるようであれば、ただちに当院を受診してください。
ただし、高齢者や糖尿病患者様では、痛みがあまり強くなかったり、まったく症状がなかったりする「無症状性心筋梗塞」が起こることもあります。この場合は前兆もなく急に激しい胸痛に襲われることもありますので、注意が必要です。
心筋梗塞の原因
心筋梗塞の主な原因は、冠動脈の動脈硬化です。長年かけて冠動脈の内側に脂質(プラーク)が蓄積していくことで血流が遮られて、狭心症を発症します。この状態が放置されると、ある時点でプラークが破綻して血栓が形成され、血管が完全に閉塞して心筋梗塞を発症します。
動脈硬化を引き起こす要因として、以下のようなものが挙げられます。
※動脈硬化の進行(狭心症の悪化)以外で起こる心筋梗塞もあります
基礎疾患
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 肥満(特にメタボリックシンドローム) など
生活習慣
- 加齢
- 喫煙
- 運動不足
- 過度のストレス
- 不規則な生活 など
心筋梗塞の検査と診断
心筋梗塞の検査方法には、主に心電図、血液検査、画像検査の3つがあります。
心電図
心筋梗塞では特徴的な波形変化(ST上昇やQ波形成など)が見られます。これをもとに血管の詰まった箇所や範囲を推定します。
血液検査
心筋の細胞が壊死すると、トロポニンやCK-MB(クレアチンキナーゼMB)などの酵素が血液中に放出されます。これらの上昇は心筋障害を示す重要な指標ですので、心筋梗塞の診断に用います。
画像検査
- 心エコー検査:超音波を用いて心臓の壁運動の異常や機能を評価します
- 冠動脈CT検査:造影剤を使用して冠動脈の状態を評価します
- 冠動脈造影検査:カテーテルを用いて直接冠動脈に造影剤を注入し、狭窄や閉塞の状態を確認します など
※当院で行っていない検査については、専門機関をご紹介します
心筋梗塞の治療
心筋梗塞の治療は、心臓の負担をいち早く軽減するための初期治療と、冠動脈の閉塞を解除する再灌流療法を順に行います。
初期治療(緊急治療)
病院への搬送後は、酸素吸入を行って心臓の酸素不足を軽減します。併せてモルヒネなどの鎮痛薬や心臓の血管を広げるニトログリセリン、梗塞の再発を抑える抗血栓薬(アスピリン)の投与を行います。
再灌流療法
初期治療を行った後は、早期に冠動脈の閉塞を解除するための治療(再灌流療法)を行います。血栓溶解療法(線維素溶解療法)、カテーテル治療(PCI治療)、冠動脈バイパス手術(CABG)などの方法があり、状況に応じて選択します。
※初期治療、再灌流療法は搬送先の病院で実施されます
二次予防
心筋梗塞の再発を防ぐために、日常生活で以下の点に注意しましょう。当院では心筋梗塞後の方に対して、症状や状態に合わせた適切な管理と指導を行い、再発予防とQOL(生活の質)の向上をサポートいたします。
- 禁煙
- 適切な食事(減塩、低脂肪)
- 適度な運動
- 体重管理
- 血圧、血糖値、コレステロール値の管理
- 薬物療法の継続
- 定期的な診察と検査 など
