脂質異常症とは?

脂質異常症は、血液中の脂質(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪など)の値が基準範囲から外れた状態の総称です。脂質は体がその機能を維持するのに欠かせない存在ですが、過剰になると動脈硬化を促進して、最終的に心筋梗塞や脳梗塞などの重大な心血管疾患のリスクを高める要因となります。
大船・横浜市栄区にある小笹医院の院長は、循環器専門医として脂質異常症と心血管疾患の関連を熟知しております。将来的な健康リスクを考慮した治療を行いますので、健康診断で脂質の異常を指摘された方は、お早めにご相談ください。
大学時代に脂質に関する研究に従事
院長は大学時代に、脂質(コレステロール)に関する研究に携わっております。この経験から得た専門的知識を診療に活かして、患者様の症状や検査結果に応じた最適な薬剤選択を行っています。
単に数値を下げるだけでなく、患者様の生活背景や体質を考慮した食事・運動療法と薬物療法を適切に組み合わせた治療を提供します。精密な検査と診断に基づく、その方に合わせた脂質異常症の管理が当院の特徴です。
脂質異常症の合併症
脂質異常症を放置すると動脈硬化が促進して、以下のような合併症を引き起こすことがあります。
- 心筋梗塞による突然死や心不全
- 脳梗塞による後遺症や認知機能の低下
- 末梢動脈疾患による歩行困難や下肢切断
- 腎動脈狭窄による腎臓の働きの低下 など
循環器内科による専門治療の重要性
脂質異常症の治療は心臓病や血管の病気を予防する治療でもあります。循環器専門医による適切な評価と治療で動脈硬化の進行を抑えることで、合併症のリスクを大幅に減らすことができます。
脂質異常症の種類
脂質異常症は、大きく分けて以下の3つのタイプに分類されます。
高LDLコレステロール血症
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が140mg/dL以上の状態です。動脈硬化を促進する主要因子です。
高トリグリセライド血症
中性脂肪(トリグリセライド)が150mg/dL以上の状態。中性脂肪は食べ物に含まれる脂肪です。食後、特に数値が上昇しやすいという特徴があります。
低HDLコレステロール血症
HDLコレステロール(善玉コレステロール)が40mg/dL未満の状態です。HDLには余分なコレステロールを回収する役割があり、低値は動脈硬化リスクを高めます。
脂質異常症の原因
脂質異常症の原因は、大きく分けて原発性(一次性)と続発性(二次性)に分けられます。
原発性脂質異常症
遺伝的要因によるもので、家族性高コレステロール血症などが含まれます。特に若年で発症しますので、家族内に高コレステロール血症や早発性の心筋梗塞の方がいる場合は、遺伝的要因が疑われます。
続発性脂質異常症
生活習慣や他の疾患、薬剤などの影響で引き起こされるタイプです。主な原因として以下が挙げられます。
- 不適切な食生活(高脂肪食、高炭水化物食、過食)
- 運動不足や肥満
- 過度の飲酒
- 喫煙
- 糖尿病
- 甲状腺機能低下症
- 慢性腎臓病
- ステロイド薬などの薬剤 など
脂質異常症の検査と診断
脂質異常症の診断は、主に血液検査の結果によって行います。以下が基準となります。
| 項目 | 数値 | 診断 |
|---|---|---|
| LDLコレステロール | 140mg/dL以上 | 高LDLコレステロール血症 |
| 中性脂肪(トリグリセライド) | 150mg/dL以上 | 高トリグリセライド血症 |
| HDLコレステロール | 40mg/dL未満 | 低HDLコレステロール血症 |
脂質異常症の診断後は、動脈硬化の進行度や心臓への影響を評価するために頸動脈エコー検査や心電図などを実施することもあります。
脂質異常症の治療
脂質異常症の治療は、生活習慣の改善を基本として、必要に応じて薬物療法を組み合わせて行います。治療の目標値は、患者様の体質や心血管疾患のリスクに応じて個別に設定します。
生活習慣の改善
食事療法
- 総エネルギー摂取量の適正化(肥満がある場合は減量を目指す)
- 飽和脂肪酸(肉の脂身、バター、ケーキなど)やトランス脂肪酸(マーガリン、ショートニングなど)の過剰摂取を控える
- 食物繊維な豊富な食品(野菜、果物、海藻、きのこ類など)を積極的に摂取する
- EPA・DHAを含む青魚(サバ、サンマ、イワシなど)を積極的に摂取する
- 大豆製品や緑黄色野菜を積極的に取り入れる
など
運動療法
- 有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)を生活に取り入れる
- レジスタンス運動(筋力トレーニング)も併用するとより効果的
など
薬物療法
生活習慣の改善だけでは目標値に達しない場合や、合併症のリスクが高い方には、薬物療法も検討します。コレステロールの吸収を抑制する薬、排出を促す薬などから適切なものを選択します。
脂質異常症の予防とセルフケア
脂質異常症の予防のためにも、日常生活の中で以下を意識しましょう。その上で定期的に健康診断を受け、数値の異常を指摘された場合には、お早めに当院へご相談ください。
健康的な食生活
- バランスの良い食事を心がける
- 過食を避け、適正体重を維持する
- トランス脂肪酸や飽和脂肪酸の過剰摂取を控える
- 野菜、果物、魚、大豆製品などを積極的に摂取する
など
適度な運動習慣
- 毎日30分程度の有酸素運動を目標にする
- 日常生活の中で活動量を増やす工夫をする(階段の使用、徒歩や自転車での移動など) など
その他の生活習慣
- 禁煙
- 適度な飲酒(中性脂肪高値の方は特に控える)
- 十分な睡眠とストレス管理 など
