糖尿病とは?

糖尿病は、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が慢性的に高くなる疾患です。発症や進行に伴う自覚症状こそほとんどないものの、将来的に心臓病や脳卒中、腎不全、失明、神経障害などの深刻な合併症を引き起こす可能性があるため、早期発見・早期治療が大事です。
大船・横浜市栄区の小笹医院では、糖尿病の診断から治療、長期管理まで一貫対応します。院長の総合内科専門医・循環器専門医としての経験を活かして、ライフスタイルに合わせた治療計画と、将来を見据えた健康管理を行っています。
糖尿病の合併症
糖尿病による高血糖状態は、血管に大きな負担をかけて動脈硬化の発生・進行を招きます。そのため、放置すると以下の深刻な合併症のリスクが高まります。
- 糖尿病性腎症の進行(最終的に人工透析が必要になることも)
- 糖尿病性網膜症による失明
- 糖尿病性神経障害による足の壊疽や切断
- 心臓病(狭心症、虚血性心疾患など)
- 脳梗塞(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血など)
- 感染症にかかりやすくなり、傷が治りにくくなる
など
循環器専門医による管理の重要性
糖尿病をお持ちの方は心臓病や血管の病気になる危険性が非常に高く、血糖値のコントロールと同時に血圧やコレステロールの管理も重要です。合併症のリスクを考慮した適切な治療が必要ですので、心臓や血管の専門家である循環器内科医による総合的な治療が患者様の生命に大きく関わってきます。
糖尿病の種類と原因
血糖値は、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンによって一定に保たれています。インスリンは血液中のブドウ糖を細胞内に取り込む働きをしているのですが、何らかの理由でこのインスリンの働きが低下する、または分泌量が減少すると、血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれにくくなり、血糖値が上昇します。これが慢性化した状態が糖尿病です。
糖尿病には主に以下の種類があります。
Ⅰ型糖尿病
自己免疫反応などにより膵臓からインスリンがほとんど分泌されなくなる病態です。小児期や若年期に発症することが多く、インスリン注射による治療が必要となります。
生活習慣とは無関係に発症するため、糖尿病という病名が付いても、生活習慣病として扱われるⅡ型糖尿病とは別物です。
Ⅱ型糖尿病
インスリン分泌の低下とインスリン抵抗性(効きにくさ)が組み合わさって起こる糖尿病です。中高年での発症が多く、肥満や運動不足などの生活習慣が大きく影響します。日本人の糖尿病の多くがこのⅡ型糖尿病で、代表的な生活習慣病の1つです。
糖尿病の検査と診断
糖尿病の検査では、まず血液検査を行って血糖値とHbA1c(※)の値を調べます。その結果、以下のいずれかの条件を満たした場合に糖尿病型、つまり「糖尿病が疑われる状態」と判定します。
この時点ではまだ糖尿病だと診断できませんが、日を改めて検査を実施し、再び糖尿病型の条件を満たした場合に糖尿病と診断します。
①随時血糖値 200mg/dL以上
②空腹時血糖値 126mg/dL以上
③75g経口糖負荷試験の2時間値 200mg/dL以上
④HbA1c 6.5%以上
(※)HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー):過去1~2か月の平均的な血糖状態を反映する重要な指標。日常的な血糖値の変動に左右されず、長期的な血糖コントロールの状態を評価できる
初回検査で糖尿病と診断できるケース
以下を満たす場合は、初回検査の段階で糖尿病と診断できます。
①~③のいずれか+④
①~③のいずれか+典型的な糖尿病、あるいは糖尿病網膜症の症状が見られる
糖尿病の治療
糖尿病の治療目標は、血糖値を適切にコントロールして、合併症の発症や進行を防ぐことです。治療は生活習慣の改善を基本として、必要に応じて薬物療法を行います。
生活習慣の改善
食事療法
食事療法は糖尿病治療の基本です。総エネルギー摂取量を適正に保ちながら、炭水化物、タンパク質、脂質をバランス良く摂取することが重要です。
運動療法
運動療法も血糖コントロールに効果的です。適度な運動は筋肉でのブドウ糖の利用を促進し、インスリンの効きを良くする効果があります。ウォーキングなどの有酸素運動を中心に、体力にあわせた運動習慣を生活に取り入れましょう。
薬物療法(内服薬・注射)
薬物療法は、生活習慣の改善だけでは血糖コントロールが難しい場合に検討します。経口血糖降下薬(飲み薬)には、インスリン分泌を促進するもの、インスリンの効きを改善するもの、糖の吸収や排泄に作用するものなどの様々な種類があり、病態に応じて適切なものを使用します。
なお、Ⅰ型糖尿病や内服薬での改善が難しいⅡ型糖尿病の場合には、インスリン注射やGLP-1受容体作動薬の注射なども使用します。自己注射が必要になりますので、正しい打ち方ができるように指導いたします。
糖尿病予防とセルフケア
糖尿病のうち、Ⅱ型糖尿病は生活習慣の改善により予防が可能です。また、すでに糖尿病と診断された方も、適切なセルフケアにより合併症を予防できます。極度な食事制限や激しい運動を行うのではなく、可能な範囲で以下のようなことを日常生活に取り入れるようにしましょう。
健康的な食生活
- 腹八分目を心がける
- 野菜を先に食べる
- 早食いを避け、よく噛んで食べる
- 間食や糖分の多い飲料を控える
など
適度な運動習慣
- 毎日少しずつでも体を動かす習慣をつける
- エレベーターやエスカレーターを使わず階段を利用する
- 通勤・買い物は歩いて行くなど日常生活で活動量を増やす
など
健康管理
- 定期的に体重を測定する
- 年に1回は健康診断を受ける
- 十分な睡眠をとり、ストレスを溜めない
- 喫煙者は禁煙する
- 過度なアルコール摂取を避ける
など
