動脈瘤とは?

動脈瘤は、動脈の壁が弱くなり、一部が「こぶ」のように膨らんだ状態です。放置すると徐々に大きくなり、最終的には破裂して重篤な症状を引き起こす危険性があります。早期発見と適切な治療が重要なのですが、破裂するまで自覚症状が現れないことも多いため、注意が必要です。
大船・横浜市栄区の小笹医院では、動脈瘤のスクリーニング検査や診断、生活指導を行っております。症状がなくても後述する危険因子をお持ちの方は、一度ご相談ください。
動脈瘤の発生箇所
- 胸部大動脈瘤:胸部の大動脈に発生する動脈瘤
- 腹部大動脈瘤:腹部の大動脈に発生する動脈瘤
- 脳動脈瘤:脳の動脈に発生する動脈瘤
- 内臓動脈瘤:腎動脈や脾動脈などの腹部臓器の動脈に発生する動脈瘤
- 末梢動脈瘤:四肢(手足)の動脈に発生する動脈瘤 など
動脈瘤の発生箇所と症状
動脈瘤が生じても、破裂するまで無症状であることがほとんどです。しかし、動脈瘤が大きくなって周囲の臓器や組織を圧迫することで、以下のような症状が現れることもあります。動脈瘤が破裂すると大量の血液が血管外に漏れ出てしまうため、適切な処置が行われないと最悪の場合は死に至ることもあります。
動脈瘤は全身の動脈に発生する可能性があり、部位に応じて様々な症状が引き起こされます。
胸部(胸部大動脈瘤)
- 胸痛、背部痛
- 咳
- 嗄声(声のかすれ)
- 呼吸困難
- 嚥下困難
- 激しい胸痛や背部痛、ショック症状(動脈瘤の破裂時) など
腹部(腹部大動脈瘤)
- 腰痛、腹痛
- 激しい腹痛や背部痛、ショック症状(動脈瘤の破裂時) など
脳(脳動脈瘤)
- 頭痛
- 視力障害
- 複視(物が二重に見える)
- 突然の激しい頭痛、嘔吐、意識障害(動脈瘤の破裂時) など
動脈瘤の原因とリスク
動脈瘤の主な原因として、血管壁が脆くなる動脈硬化が挙げられます。動脈硬化は以下の要因で進行しますが、その多くは生活習慣に関連するものです。
- 喫煙
- 加齢
- 家族歴(直系親族に動脈瘤がある場合)
- 肥満(特にメタボリックシンドローム)
- 高脂血症
- 糖尿病
- 外傷や感染による血管壁の損傷 など
動脈瘤の検査と診断
動脈瘤の診断には以下のような検査を行います。一般的に動脈瘤の有無を確認するスクリーニング検査を実施した後、画像診断による精密検査を行ってそのリスクを評価する流れとなります。
一般的に動脈の太さ(直径)が正常の1.5倍を超えた場合に大動脈瘤と診断します。
スクリーニング検査
- 触診:腹部大動脈瘤の場合、腹部の触診で拍動性の腫瘤を感じることがあります
- 胸部X線検査:胸部大動脈瘤の場合、大動脈の拡張や石灰化を確認できることがあります
- 超音波検査(エコー検査):特に腹部大動脈瘤のスクリーニングに有用で、瘤の大きさや形状を評価できます など
精密検査
- CT検査(CT血管造影):微量の放射線を使って体の断面画像を撮影し、動脈瘤の位置、大きさ、形状、周囲の状態を評価します
- MRI検査:磁気の力を利用して体の断面画像を撮影します。血管の状態を詳細に描写できますなど
※当院で行っていない検査については、専門機関をご紹介します
動脈瘤の治療
大動脈瘤の成長速度や症状、患者様の全身状態などを総合的に判断して治療方針を決定します。
保存的治療
小さな動脈瘤や手術リスクの高い方に対しては、以下のような保存的治療で経過観察を行います。
- 血圧管理:降圧薬を用いて血圧を適切にコントロールします
- 定期的な画像検査:動脈瘤の大きさや形状の変化を定期的に評価します
- 生活習慣の改善:禁煙、適切な食事、適度な運動 など
外科的治療
動脈瘤が一定の大きさを超えた場合や、急速に拡大している場合、症状がある場合などには外科的治療が検討されます。
- 人工血管置換術:動脈瘤が生じた血管を切除し、人工血管に置き換えます
- ステントグラフト内挿術:カテーテルを用いて瘤の内側に人工血管(ステントグラフト)を留置します。適応となる症例では体への負担が少なく、回復が早いというメリットがあります など
日常生活と予防
動脈瘤の治療後は、日常生活で以下に注意することで再発を予防します。
- 適切な血圧・血糖コントロール
- 禁煙
- 定期的な健康診断
- 適度な運動(ウォーキングなどの有酸素運動を推奨)
- 健康的な食事(野菜や果物を多く、塩分や飽和脂肪を控えた食事を心がける)
- 生活習慣病など動脈瘤のリスクとなる疾患の治療・管理
※当院で行っていない治療については、専門機関と連携して対応いたします
